貫井徳郎。
最新刊。2006年3月30日。初版。
初出(ミステリーズ!)vol.09-vol.13(2005年2月~2005年10月)
慟哭、プリズムに続く、第三の衝撃
ほら、人間という生き物は、こんなにも愚かで、哀しい。
数多のエピソードを通して浮かび上がる、人間たちの愚行のカタログ
(↑帯より)
犯人は誰?・・・この手の本のお約束事だから、明かせません。
ただ、犯人は誰っ?て追いかけるより、次々と登場する人々の語る話を聞いてゆく。
何故、彼女は殺されなければならなかったのか?
家族を巻き込んでまで・・・
人の心の奥深くにはこんな思いが渦巻き、沈んでいるんだ。
怖いなぁ~。
それを表に出すかしまったままでいるのか・・・人それぞれなのだろう。
私には、言葉としては理解出来ても、そんな感情は存在しないと言い切れる!
小さな妬みや嘘が無かったとは言わないけれど・・・
こんなに生きて来たから(笑)。
でも、基本的に自分は自分でしかないもの。
誰かのようにとか誰かを羨んでみても何も始まりはしないのだから・・・
それより、自分に正直であれば人にもそうあれる。
言いたくても言えない、言ってはいけない事なんて、数え切れないほどある。
そして、したくても出来ない、してはいけない事もいっぱい。
どこで、バランスを取ればいいのだろう・・・
それが壊れてしまった可哀相な彼らの日々。
自分を認めて、愛してあげたなら、他者も愛せるような気がする。
自分について哀しい嘘がどうして人にもつけるかしら?
欺いて見たって、誰でもない当の自分が知っているもの。
だから・・・
正直でありたいと願う。
もちろん、正しい嘘?って言えばいいのかな、それもあるけれど。
人は完全ではないから、愚行を繰り返す。
愛すべき、愚かな生き物なのかもしれない・・・
読み終えて、今までの貫井作品とは少し違う感じがした。
上手には言えないけれど・・・
とても爽やかになれるお話しではない。
まぁ、彼の作品はそうだけど・・・
でも、一度好きになったらその作家を追いかけてしまう。
そして、また、次が読みたくなってしまうの。