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ヴァンパイア伝説~Mr.Lee!~44
2006年 02月 02日
その如何にも気弱そうな男の顔をまじまじと見つめたMr.Leeは、何故かその瞳の中に、懐かしさを覚えた。
(何だろう・・・、この感情は?) 男は、観念したように、そして、縋るような目でMr.Leeを見つめながら、話始めた。 「僕の名前は、ユジン・ヴィクトリー・・・」 「何だって!」 「そうです。僕の父はアンドリュー・ヴィクトリー。」 予想もしていなかったユジンと名乗る男の告白に、Mr.Leeもレイもただ、固唾を呑んで、耳を傾けるだけだった。 「先ほどの殺されるというのは、父が、本当に母を殺すという意味ではありません。」 「しかし、母は心が脆弱で今もある病院に入院中です。」 「母は、父の所謂、愛人、僕はその息子・・・許されない仲でした。」 「けれど、母は父を心から誰よりも強く愛しています!」 「だから、僕を生み、ひっそりと隠れるように暮らして来ました。」 「でも、そんな生活にいつしか身も心も疲れ果て、今では、父が訪ねてくれる事だけが、生きがいのような日々を送っています。」 「だから、母のためにこんな事を引き受けてしまったのです。」 「どうか、Mr.Lee、許して下さい。何でもします。だけど、この身分が貴方に分かってしまったという事だけは、どうか伏せて置いて欲しいのです!」 「父には、母の所へ行ってくれるという約束で、僕は行動していたのですから、それが、約束を反故にして、全てを話してしまった事が明るみに出てしまったら・・・」 「もう、父は二度と母には逢いに行ってはくれないでしょう。」 「それは、同時に母の死をも意味するのです。」 「僕には、母しかいない。」 「あの人しかいないのです・・・」 「半ヴァンパイアとしての僕に生きる道など、始めから用意などされてはいなかったのだから・・・」 「半ヴァンパイア・・・」 「そうなのか!?お前も・・・」 Mr.Leeは、今、このユジンと名乗る男の哀しみが過去の自分とぴったりと重なり、心が震えていた。 「ユジン・・・」 「君と僕は同じだね。そして、本当に血が繋がっているんだね。」 「よく話してくれたね。」 「決して、悪いようにはしない。いいね。」 「心配するな!君の父であり僕の叔父の目的を知っているかい?」 「もし、知っているなら、教えて欲しい。」 「・・・。」 少しの間ユジンは躊躇しているようであったが、意を決したような強い瞳を取り戻し、Mr.Leeに語り始めた。 「父は、貴方が憎かったのです。いいえ、正確に言えば、お爺様、そして、貴方のお父上のアシュレー様が・・・」 「よく、小さい時から、聞かされて育ちました。どんなに望んでもお爺様はアシュレー伯父さんしか見てはいなかったと。」 「聡明な兄と何をしても勝つことが出来ない自分、情けなく、振り向いて貰えない寂しさと苛立ちが、父を変えていったそうです。」 「そんな時に母と知り合ったそうです。」 「いつか、今の立場を逆転してやると!その時をひたすら待ち望み、自分を磨く事に全てを賭けたそうです。」 「それが、あんな形で早々訪れるとは、父も思ってもいなかったようで、アシュレー伯父さまが、リナ伯母さまとまさか全てを捨ててまで出て行かれるなんて・・・」 「お爺様の落胆ぶりはそれは大変なものだったらしいです。」 「父は、このチャンスを逃してなるものかと、奔走したらしいですね。」 「母がそんな父が哀しかったと話してくれた事があります。」 「そして、その時、父には、既に、お爺様から決められた婚約者がいたのです。」 「明らかに、政略結婚だったそうです。しかし、兄の裏切りの後に、自分までも、まして願っても無いチャンス!・・・父には、断れるはずもなく、いえ、断るはずがありません!」 「しかし、父は母を手離したくは無かった!母の優しさは、父にとってなくてはならないかけがえの無いものになっていたようで、仕方なく日陰の身に・・・」 「本来ならば、自分の母と同じ運命を僕の母には、辿って欲しくはなかったようですが・・・」 「そして、僕が生まれたのです。果たして、望まれて生まれて来たのか?」 一気にここまで話終え、大きな息を吐き出したユジンは、哀しそうな瞳でMr.Leeを見つめ、いよいよ、確信に迫る話へと! To be coninued.
by pink_alien98
| 2006-02-02 21:52
| プチ創作☆Mr.Lee
|
Comments(8)
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cheerfully
at 2006-02-02 22:17
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この犯人、いやユジンはアンドリューの愛人の子供.....。
Mr.Leeと同じ半ヴァンパイアだったのねぇ~。 愛人の子供だと本当日の目を見るコトはあまりないし...。 本当、かわいそうな男ですねぇ~なんか同情しちゃうなぁ~。 この仕事しないと自分の母親が死んだと同じ状態になるって それは残酷な試練.....。 しかし、アンドリューは何を考えてるのかなぁ~ 分からないな~( ̄~ ̄;)??う~ん。 自分が愛してる女性の子供なのに.....。
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pink_alien98 at 2006-02-02 22:26
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johnmika
at 2006-02-02 22:42
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LUNAママ様、UP、ありがとうございます~
>Mr.Leeは、今、このユジンと名乗る男の哀しみが過去の自分とぴったりと重なり、心が震えていた。 ↑Lee、人間として素敵ですね。命が危うくされたという当然の憤りよりもユジンの悲しみ、苦しみを感じ取ろうとするところが。 アンドリューも愛し愛されることも知っているのに、 人間は自分次第で、良い方にも悪い方にも向かうものなのですよね~ 最終的には、皆が幸せになったらいいですね~
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pink_alien98 at 2006-02-02 22:53
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cheerfully
at 2006-02-02 22:54
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全然違和感がなくて、読んでいて大丈夫でしたよっ♪o(^▽^)o。
確かにアンドリューの人生を狂わしたのは、カイン伯爵が大きく関わって いるコトだけは確かですね~そう言われてみればアンドリューも 被害者なのかもしれませんね~。 カイン伯爵、責任とって~!!って言いたくなりますねっムカ・・・(-_-メ)
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pink_alien98 at 2006-02-02 23:08
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eleesa
at 2006-02-03 00:45
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LUNAママさん、こんばんは
刺客の正体は思いもかけない人だったんですね。 アンドリューは自分の子を悪の道に引きずり込んだなんて信じられないです。 母のために犠牲になろうとしたユジンが悲しい・・・ これ以上誰も傷つかないよう、Mr.Leeお願いします。
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pink_alien98 at 2006-02-03 08:30
>eleesa さん、おはようございます。
ユジンの哀しみとMr.Leeの哀しみが共鳴しあっています。誰も傷つかないように・・・ |