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ヴァンパイア伝説~Mr.Lee!~154~
2006年 12月 24日
Mr.Leeは、Mr.ソンに呪縛を解かれてもJ姫の下へは走らないことを誓い、彼を縛る呪文を解いて貰った。
身体は、不思議と痛む事もなく、回復しているようだった。 さすが、Mr.ソンだ。 「Lee様、先ず、シンと真っ向から立ち向かう為には、あなたにはまだ、足らないものがあるのです。」 「足らないもの・・・」 「ええ、そうです。あぁ、足らないのではない・・・そうではありません。Lee様、あなたには、ヴァンパイアとしての資質は充分受け継がれているのです。その事は間違いありません。けれど・・・」 「Mr.ソン。構いません。はっきりと言って下さい。僕は何を聞かされても驚いたりはしないから。」 「はい、では。Lee様、あなた様にはお母様のりリナ様から受け継がれた愛が、そう、あなた様は、ヴァンパイアとして、優し過ぎるという欠点があるのです。」 「あなた様は、憎んだとしても、結局最後まで憎しみを胸に抱き続け、相手を封印してしまうことが出来ないのです。」 「あなた様の心の中には、信じられないことですが、神が存在している。それは、リナ様の思いがあなた様へ・・・そう、Lee様へお母様から託された思いです。」 「もう、無益な闘いをしてはならないと・・・リナ様は本当に心優しい方でした。そして、J姫様も。だから、その優しさがあなたを真のヴァンパイアになる事を拒んでいるのです。もちろん、あなた様はそんなご自分の思いに気付かれることはありません。何故なら、それは、心の奥深くに沈んでいる潜在意識なのだから。」 「だから、足らないと言えば足らない・・・また、違う側面から言えば溢れているのですよ。優しい気持ちと愛が・・・」 「Mr.ソン。では、私は、一体どうすればいいのだろう?」 「はい、わたくしにも本当の所はわからないのです。でも、きっとあなた様の愛はJ姫様を救う事が出来るはずです。」 「シンは、まだ、ヴァンパイアハンターの後継者というだけの立場。カイン伯爵様とシンの父上が約束された無益な闘いを避けると言う誓いはまだ、生きております。」 「わたくしは、まだ、病み上がりのカイン様には、お知らせしたくはなかったのですが、指示を仰いで、わたくしで事が足りるのでしたら、シンの父上、ヴァンパイアハンターの筆頭、ユン氏に会いに行って参ります。では、Lee様は、いいですね。わたくしがこの場を去った後もここで、静かに待っていて下さいますね。」 「あぁ、Mr.ソン。わかったよ。ここで、静かにあなたの帰りを待とう。約束だ。」 その言葉を聞くなり、かしこまりましたと言う言葉を残し、Mr.ソンの姿は煙のように消えてなかった。 「レイ、僕を見張っていてくれ。いいな。僕の我慢が爆発しないように。」 「Lee様・・・」 「レイ、意識を解き放ってもJの意識が掴めないんだ。嫌な予感がする。前の時の様にJは、自分で自分を閉じ込めてしまったのではないだろうか?」 「Lee様、大丈夫ですよ。万が一そうであったとしても、姫様は、Lee様でしか目覚めさすことは出来ないのですから。」そう、スヨナが力強くMr.Leeを慰めた。 「あぁ、スヨナ。有難う。お前も辛いはずなのに・・・」 「いいえ、Lee様の思いに比べたら、わたくしなど足元にも及びませぬ。」 「いや、お前は、本当にJを愛してくれている。感謝しているよ。」 「Lee様・・・」スヨナは溢れる涙を拭おうともせずにMr.Leeを見詰め、泣き笑いで、微笑んでいた。 その頃、シンは、目覚めないJ姫の側で、途方にくれていた。 どんなに声を掛けても、揺すってみても一向にJ姫の意識は戻らなかった。 (可笑しい・・・何故だ?こんなこと・・・何故?Jは、目覚めないんだ。) シンは、珍しく焦っていた。 やっと思い続けたJをこの手に抱けると思ったのに・・・ 今宵は、極東に行っていた父が帰って来る日でもあった。 だから、Jを我が妻として迎える旨を告げたかった。 ほんの少しの不安を抱えつつ、シンにとって、父は幼い頃より、父ではなくヴァンパイアハンターとしての師匠だった。 優しい声がけなど一度も掛けられた事などなかった。 物心付いた時から母はいなかった。 お母さんは?どうして僕にだけお母さんがいないの?そう、父親に尋ねる事は何故か、憚られた。 後に、母は、ヴァンパイアハンターとしての父についてゆけずに、幼い僕と父を残し、別の愛する人と行方を眩ましてしまった事を知った。 愛など、信じないっ! 絶対に! そうやって生きて来た。 そんな僕がJと出会ったのは、あのちょっと古めかしいけど、そこだけがゆったりと時が流れているような記念講堂だった。 大学なんて、ただ、通って、とっとと学位を取得する場所に過ぎないと考えていた僕・・・ J、君は、ひっそりと咲く・・・でも、凛とした白百合のように僕には見えたよ。 その美しい瞳で僕に問いかけて来たね。 「ここ、空いていますか?」 「ええ、どうぞ。」それだけ答えるのが精一杯だった。 同じクラスのようだった。 そう、その瞬間、僕は、言葉を失くしたように思わず、君を見詰めてしまったんだ。 君はそんな事には、全然、気付かずにいたね。 そして、学長先生の僕達を迎える為の挨拶を真剣な面持ちで聞いていたね。 誰も聞いちゃいないってのに・・・ そんな君とオリエンテーションでまた、隣同士だったね。 僕たちは余程、縁があったようだ。 人数の多い学部で、学生達が犇く中、もう一度君に会えたこと、僕は神様に感謝したくらいだもの。 君は、僕を覚えていてくれたね。 そして、そう、優しく花開くように笑ったんだ。 僕は、そう、ずっと君だけを見て来たのに・・・ 何故、君は僕を見ようとはしてくれないの? J、愛してるよ。本当なんだ。神様に誓って君だけを! お願いだ・・・目を開けて。 もう、決して君を誰にも渡したりはしない。 僕たちがあのキャンパスで過ごした日々は、嘘じゃないだろう。 君がMr.Leeと結ばれた時の僕の気持ちがわかる? あぁ、二度とあんな思いはごめんだ! だから、J。ねぇ、J。起きてよ。僕の目を見て・・・ シンは、J姫に付きっ切りでその手を優しく両手で包み込み、声を掛け続けていた。 だが、J姫は目覚めることなく、眠り続けるのだった。 シンの元へ、執事が父ユンの帰還を告げにやって来た。 今は、一番会いたくはない人だった。 だが、会わずに済むはずはなかった。 シンは、静かに父親の部屋のドアを叩いた・・・ To be continued.
by pink_alien98
| 2006-12-24 22:48
| プチ創作☆Mr.Lee
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Comments(14)
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at 2006-12-25 00:38
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badtzmaru
at 2006-12-25 00:57
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LUNAママさん こんばんは!
Mr.Lee ヴァンパイアとしての資質は充分あっても 母親のリナから受け継いだ愛 そしてJ姫の愛が 真のヴァンパイアになる事をこばんでいるなんて・・・ シンと対決するのに それが邪魔しているなんて 皮肉ですね 自ら自分を閉じ込めてしまったJ姫も心配ですが J姫を手に入れたくて シンが 父親のユン氏をも無視して暴走してしまいそうで・・・・ Mr.Leeどうなるのでしょうか? ↓のホラー 分かります 私もホラーは苦手なんです。 全然見られません・・・ でも どう言う訳か 次男が好きなんです 彼の膨大なDVDコレクションの4分の1はホラーだと思います 大体夜中に見ています・・・運悪く遭遇した時は ちょっとしたパニック状態です! 我が家にはホラーのフィギアがあるんです(-_-;)・・・
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at 2006-12-25 01:05
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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pink_alien98 at 2006-12-25 06:10
>2006-12-25 00:38 の非公開さんへ。
おはようございます。 間に合いましたね・・・イブの夜にLee! さて、二人に幸せな夜訪れますように・・・ そして、あなたにも素敵なクリスマスを!
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pink_alien98 at 2006-12-25 06:13
>badtzmaru さん、おはようございます。
はい、優しさが邪魔をしているのです。 でもLeeらしいでしょう? 幸せな時間を取り戻してみせます! おぉ!ホラーのDVDがいっぱいなの? いやぁ~、パッケージ見るだけで、怖いでしょう? で、フィギュアもあるの? あぁ~、駄目だわ。 怖い~。 遭遇しませんように(笑)。
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pink_alien98 at 2006-12-25 06:16
>2006-12-25 01:05の非公開さんへ。
おはようございます。 ええ、優しいがゆえの弱点なんて・・・ね。 でも、それがLeeです。 さぁ、聖なる夜に・・・ 思いを込めて! では、素敵なクリスマスを!
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at 2006-12-25 07:20
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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at 2006-12-25 11:28
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リリー
at 2006-12-25 12:53
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LUNAママさん、皆さん、こんにちは♪
こんな忙しい時に、Lee&J姫に会えて、とっても 嬉しいです~ママさん、ありがと~~ 優しさがLeeの弱点・・・切ないですね・・・優しさに 勝つものって何でしょう・・・ そしてシン・・・なんて嫌なヤツ!と思っていましたが シンのJ姫を想う気持ちも本物のようですね・・・となると ちょっとかわいそうかな・・・ ママさんのこれからの展開に、大いに期待しています^^ ちょっと辛くても、きっと最後はハッピーですね^^
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cheerfully
at 2006-12-25 19:46
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なるほど...Mr.Leeの弱点が「優しさ」なのね...
どうしたらいいのかな... それよりもJ姫がまた自分の殻の中に 閉じこもってしまってるのが気になる... シンさん、お父さんには弱いのかな... J姫は誰にも愛される人だけど、 シンさんもMr.Leeに負けず劣らず J姫への愛情、あるのね...^^ 続き、楽しみに待ってます~☆
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pink_alien98 at 2006-12-26 13:44
>2006-12-25 07:20の非公開さんへ。
こんにちは。 メリークリスマスのお返事が遅くなってしまって、ごめんね。 素敵なクリスマスでしたか? Lee、25日にはと思っていましたが、無理だったわ。 今晩、UP出来るといいなぁ~。
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pink_alien98 at 2006-12-26 13:45
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pink_alien98 at 2006-12-26 13:49
>リリーさん、こんにちは。
はい、優しいの・・・ でも、LeeはJ姫を守るためならば・・・ 変われるはず・・・ それは、もっともっと守るためにより強く! さて、怒涛のUPとゆきたいところですが、ボチボチになりそうだわ。 はい、Happy で!
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pink_alien98 at 2006-12-26 15:51
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