その時、力強い手が・・・
レイだった。
「Lee様。しっかり!」
「レイ!来てくれたのか!」
力強いレイの腕で、二人は死の淵から救われた。
「レイ、大丈夫なのか?傷は?」
「ええ、Lee様、私は、最強のヴァンパイアですよ!」
「そうだったな。」
「もう、駄目かと思ったよ。お前が来てくれなかったら、J姫を泣かせていたな。」
「そう、J姫様には、感謝しなくては、Lee様のご様子が普通ではなかったと心配され、私に知らせて下さったのです。」
「J姫が・・・」
「そうか、もう、彼女に嘘は付けないな。」
「そうですよ!何故、何もかもご自分でなさろうとするのですか?」
「そうだな、悪い癖かもしれん。」
叔父は、静かに蹲っていた。
その肩は震えていた。
哀しみが溢れ、とても小さく見えた。
あんなに威厳に溢れていたのに、見る影もなく・・・
「アンドリュー叔父さん、もう、僕は貴方を許しています。」
「・・・。」
「貴方は、僕を救おうと手を離そうとしたじゃないですか!」
「憎いなら、そのまま、道ずれにだって出来たのに・・・」
「Lee・・・。」
「そうだな、お前はいつだって、真っ直ぐな目で私を見てくれた。」
「可愛い、私にとっては、初めての甥だった。」
「どうして、こんな事に・・・」
「何故、こんな馬鹿なことを・・・」
「アンドリュー叔父さん、もう一度、やり直して!」
「ユジンと貴方の愛したユンジュ叔母さんが待っています。」
「二人とも貴方を心から愛している、そして、貴方に愛されたいと願っています。」
「ユジンは貴方に愛された事がないと傷ついています。」
「それは、まるで、貴方のように!」
「だから、愛を取り戻して下さい。」
「僕は、カインお爺様も叔父さんを僕の父と同じ様に愛していると思います。」
「僕は、間違っていたのかもしれない・・・」
「僕も、カインお爺様にとっては、必要のない孫だと思っていたけれど。」
「それは、僕が怖かっただけ・・・もしも、そうだと言われたら・・・」
「逃げていたんだ。」
「アンドリュー叔父さんも同じです。」
「確かめるのが怖かったから、目を背けて、暮らして来たんです。」
「時間を取り戻しましょう。まだ、遅くはないから!」
「そうだな。Lee。許してくれるのか?」
「ええ、もう、忘れました。」
「ただ、聞きたい事が一つだけ残っています。」
「あの火事の件ですが、まさか、あれも叔父さんが・・・」
「いや、あれは・・・」
「Lee、知らなくていいこともある・・・」
「思い出さないならそのままでよい事もあるんだ。」
「・・・。」
その時、Mr.Leeの脳裏にあの日の事がフラッシュバックした。
「痛い!」
「Lee様っ!」
「レイ、助けて!!頭が割れそうだ・・・」
To be continued.